ハーツクライ産駒を様々な角度から分析し、
産駒の特徴や重馬場適性やどの競馬場が一番得意なのか
またどういった条件だと強く、どういった条件だと弱いのか、を徹底的に分析しています。
現在競馬界と切っても切れない存在
それは「ハーツクライ産駒」です。
現在日本競馬界を席巻しているサンデーサイレンス系種牡馬。
ですが、ディープインパクトをはじめ、ダイワメジャー、ステイゴールド、ネオユニヴァース
などの種牡馬が毎年リーディング争いを繰り広げており、サンデーサイレンス系種牡馬
というだけでは、争いに勝ち残れない厳しい状況に置かれています。
そんな中でもハーツクライ産駒は着実に存在感を示してきており
代表的な産駒も多数誕生してきました。
ドバイのレースを含めてGI3勝を挙げた ジャスタウェイ
オークスを勝ち、その後も牝馬トップとして長く活躍した ヌーヴォレコルト
2歳冬から頭角を現し一気に日本ダービーまで制覇した ワンアンドオンリー
オルフェーヴルがいなければ確実にGI馬になっていた ウインバリアシオン
現役時代のハーツクライはディープインパクトに国内で唯一土をつけた馬として有名ですが
この馬の武器は成長力と爆発力です。
ハーツクライ自身が日本ダービー2着という成績を収めたあとか
らちょっとしたスランプに陥りながらも古馬になって再度成長。
有馬記念とドバイシーマクラシックを勝利しました。
この成長力と爆発力は産駒にも受け継がれています。
ジャスタウェイも3歳の頃はG3あたりで勝ち負け出来るレベルでした。
しかし、古馬になり2段階目の成長を遂げ
天皇賞秋でジェンティルドンナをちぎっての勝利を収めました。
ヌーヴォレコルトはオークスで断然人気だったハープスターを破っての勝利と
大物相手に強いところを見せました。
これらの実績が評価されてハーツクライ産駒は毎年リーディングサイアー争いで
上位の成績を収めています。
<リーディングサイアーランキング>
2016年 5位(2016年9月終了時)
2015年 3位
2014年 3位
2013年 5位
2012年 9位
この成績を見てみると種牡馬界でのハーツクライの地位が分かります。
これだけ存在感のあるハーツクライ産駒の事を知らないまま競馬予想をしていては
馬券攻略が出来るわけがありません。
今まで、ハーツクライ産駒という事を意識しないで馬券を買っていた人や
血統が苦手で種牡馬とか考えるのが面倒くさい
というような苦手意識を持っている人には是非読んで頂き、
今後の予想に役立てて貰えたらと思います。
ここではハーツクライ産駒を徹底分析するため
過去のデータを数多く利用しています。
データに関しては、競馬予想の実践として使えるように古すぎないデータを使用していますが
新しすぎるデータだと母数が少なく、データとしての信頼性に欠けるので
「2014年1月1日~2016年6月30日」のデータを使用しています。
リーディング上位種牡馬、新種牡馬など
種牡馬全体の評価・分析はこちらのページに載せていますので
以下をクリックして確認して下さい。
リーディング上位種牡馬、新種牡馬などJRA種牡馬の特徴はコチラ
ここからいよいよ本題に入ります。
最初はハーツクライ産駒の基本的な知識について話をしていきたいと思います。
お話をする前に、まずはハーツクライ産駒全体の成績を見てみましょう。
ディープインパクトは別格としても、キングカメハメハ・ダイワメジャー
に並ぶ好走率を誇っています。
勝率・連対率・複勝率は芝・ダートともにほとんど同じですが
ダートの回収率が高い点が特徴です。
出走馬の数としては芝の方が圧倒的に多いのですが、その分
「ハーツクライ=芝」というイメージを多くのファンが持っています。
その分、芝よりもダートでの期待値の方が高い訳です。
「ハーツクライ産駒は芝・ダート共に走るが、狙えるのはダート」
と言うことを前提として覚えておきましょう。
その上でもう一段階踏み込んで芝・ダートの成績を見てみます。
先ほどは全ての出走馬についてのデータでしたが
今度は単勝オッズ50倍以下でのデータを見てみたいと思います。
率は先ほどのデータ同様、ダート・芝共に変わりませんが、
芝の複勝回収率がアップしています。
ハーツクライ産駒は爆発力があるという話をしましたが、爆発力があるということは
安定感がないという事です。
単勝50倍以下の勝負に参加できる馬(ある程度の安定感が見込める馬)で
データをとっていくと、芝でも優秀な成績を残せていることが分かります。
つまり最初のダートで狙えるというのは全頭を対象にした話で
馬券を買う上では
「ハーツクライ産駒は芝・ダート共に高い回収率を誇る優良種牡馬である」
と覚えておくといいでしょう。
ハーツクライ産駒の基本特性
先ほどは、ハーツクライ産駒の全体評について話をしましたが
ここではハーツクライ産駒が持っている基本的な適性について
お話をしていきたいと思います。
前章ではダートでの成績も良いという話をしましたが
出走頭数としては圧倒的に芝の方が多いので、芝の成績を中心にお話をしていきます。
1.4,5歳にピークを迎える晩成型の成長曲線
競走馬の成長過程として「早熟」「平均」「晩成」とタイプが分かれていますが
ハーツクライ産駒は「晩成」タイプにあたります。
最初に年齢別の成績を見て下さい。
複勝率でいうと2歳時の成績が一番良くなっていて、続いて4歳時の成績が良い状態です。
素質の低い馬が多数出走してくる2歳戦の成績が良いのは一般的な傾向ですが
それほど抜けて高い数値を示している訳ではありません。
ここで注目が必要なのは4歳と5歳時の複勝回収率です。
複勝回収率は全体的な走りの内容を評価するのに適した指標ですが、その数値が高いという事は
人気と比較して高いパフォーマンスを見せている。
つまり4,5歳時にピークを迎える馬が多い、という事を表しています。
では、ダートではどのような傾向を見せているのでしょうか?
以下のデータを見て下さい。
こちらも4歳時の成績が抜けていい事が分かります。
また5歳、6歳での単複回収率の高さを見てみると古馬になってから
いかに高いパフォーマンスを見せているかが分かります。
芝はスピードが問われるので、晩成傾向にあっても高齢になると弱さを見せますが
ダートの場合はスピードよりもパワー・スタミナが問われるので、
芝よりも高齢で活躍出来るという事が分かります。
ハーツクライ自体は4歳秋でピークを迎えたので、産駒も同じ成長曲線を辿っている
という事が言えます。
2.距離が延びれば延びるほど力を発揮する長距離適性
ハーツクライの代表的な産駒は長距離で活躍していましたが
実際にどの距離に強いのか、距離別の成績を見てみたいと思います。
まずはこちらのデータを見てみましょう。
代表産駒の成績通り長距離で安定した成績を残しています。
現役時代のハーツクライも国内でGIを制したのは有馬記念で
日本ダービーやジャパンカップで2着があるように母父トニービンから引き継いだ
豊富なスタミナが武器でした。
ただ、1200m、1400mでもそれほど悪い数値を残していません。
ハーツクライが持っているパワーが短距離戦でも活きているということと
母方の特性が上手く引き出されている事がこの成績を生んでいると言えます。
このデータをみて
「2400m以上の長距離戦に強いが、他の距離もある程度こなす」
と結論づけることが出来ます。
念のためダートでの成績も見てみましょう。
こちらは特に傾向はありませんが、芝レースと同じで1400m戦に強い点が目立ちます。
パワーとスピードの持続力が問われる1400m戦ではハーツクライ産駒の特性が
活きるので、他距離から1400m替わりは注意しておきましょう。
3.馬場悪化は苦にしないが、安定感なら良馬場
次にハーツクライ産駒の馬場適性について見てみたいと思います。
ハーツクライ産駒の馬場別成績を見てみると
率を見てみると重馬場こそ若干数値が下がるものの全体的に安定した成績を残しています。
母数は少ないものの不良馬場でもしっかりと走れていることが分かります。
しかし、回収率の面から見てみると
良馬場 > 稍重馬場 > 重馬場 > 不良馬場
わかりやすい形の成績分布となっています。
あからさまに重馬場・不良馬場を苦にする訳ではありませんが
ベストパフォーマンスは良馬場であるという事が分かります。
予想する際は馬場の変化で評価を変える必要はないでしょう。
ジャスタウェイは不良馬場で行われた安田記念を接戦ではありますが勝っていますし
ウインバリアシオンは不良馬場で行われた日本ダービーでオルフェーヴルの2着に入っています。
4.クラスが上がれば上がるほど力を発揮出来る
距離にしても、馬場にしても大きな弱点を持たず、そつなくこなすハーツクライ産駒ですが
重賞をはじめとした各クラスでの成績はどのようになっているのでしょうか
クラス別の成績を見てみましょう。
重賞レースでの成績の良さが目を引きます。
一般的に種牡馬のクラス別成績を見てみると条件戦の方が良いのですが
ハーツクライ産駒に関しては重賞レースの成績が良いという極端な成績が出ています。
相手が強くなればなるほど自分の力を発揮してくる。
有馬記念でディープインパクトを破ったハーツクライの姿に本質が出ています。
昇級戦で挑むレース、相手レベルが強化されるレースでは常に注意が必要となります。
とここで、昇級戦でどれだけの成績を残しているのかデータを見てみましょう。
同クラスでの競馬よりも遙かに昇級戦の方が好成績を残している事が分かります。
通常であれば昇級戦の成績がここまで高い事はありません。
ハーツクライ産駒がいかに相手強化で走る馬なのかが分かります。
念のため、ダートでの成績も見てみましょう。
ダートではクラスが上がるごとに成績が下がっていっています。
これはハーツクライの本質が芝馬であることからダートでは重賞で活躍できるほどの
地力を持ち合わせていない馬が多いという事が要因となっています。
同じような好走率や期待値であったとしても、ハーツクライが得意なのは芝
ダートはこなせるという程度に考えておいた方がいいでしょう。
5.どの競馬場でも走ることが出来る安定型、小回りはさらに強い
これまでハーツクライ産駒についていくつか話をしてきましたが
得意な条件はあるものの弱点がなく、どんな条件でもある程度はこなす
という事が分かってきました。
では、得意な競馬場、不得意な競馬場はあるのでしょうか。
ここで競馬場別の成績を見てみましょう。
どの競馬場を見ても複勝率23%超えと満遍なく好成績を残しています。
リーディング上位を占める種牡馬の中でこれだけ弱点がない種牡馬は他にはいません。
まさに
「ハーツクライは競馬場を問わないオールラウンダーである」
と結論づけることが出来ます。
得意条件について好走率、回収率の観点から見てみると
小倉・函館の小回りコースで良績を残している点に気付きます。
(回収率だけでいえば福島競馬場でも好成績です)
代表産駒からは東京などの広いコースで力を発揮するイメージがありますが
実際は小回りコースの方が強い、つまり機動力や持久力に優れていることが分かります。
6.使い詰めた時の成績がベスト、しかし休み明けも十分にこなす。
ここまでハーツクライ産駒の特徴を挙げてきましたが、
競走馬としてのバランスの良さを示すデータが多数出てきました。
能力はスピード・スタミナ・パワーと全て備わっている事が分かりました。
では、体の強さについてはどうでしょうか。
こちらについても検証してみたいと思います。
以下は前走からの間隔別成績となっています。
一番目立つのは中2週で挑んだ馬の成績です。
10%を超える勝率、30%近い高い複勝率ともにハイアベレージで
間隔を詰めての出走に適応している事が分かります。
連闘での成績も良く、馬体の頑丈さ、タフさについては問題ないと言えます。
また休み明けについても勝率こそ低いものの複勝率は標準以上
気性難の馬も少なく、走ることに前向きな馬が多いことが分かります。
7.闘志を持ちながらも、走ることに前向きで素直な気性の馬が多い
先ほどのレース間隔別の成績で、
「ハーツクライ産駒は気性難の馬が少ない」
という話をしました。
スピードをウリにしていない馬で、休み明けの成績が良いという時点で
気性難の馬が少ないと断定出来るのですが
もう一つ別のデータを使って検証してみましょう。
ブリンカー着用時における成績を見てみます。
ブリンカー未使用時の複勝率が25.8%に対して
ブリンカー着用時の成績が20.0%
普通に走った方が成績は良くなるという事です。
この率の違いはハーツクライ産駒の気性の良さ、素直さを表しています。
馬券を買う側からすると、自分の期待した分は常に走ってくれる安心感がある種牡馬です。
さて、ここまではハーツクライ産駒に関する
基本的な特性についてお話をしてきました。
ここで今まで話した事をまとめたいと思います。
まとめ
ハーツクライ産駒は…
・4,5歳にピークを迎える晩成型の成長曲線
・距離が延びれば延びるほど力を発揮する長距離適性
・馬場悪化は苦にしないが、安定感なら良馬場
・クラスが上がれば上がるほど力を発揮出来る
・どの競馬場でも走ることが出来る安定型、小回りはさらに強い
・使い詰めた時の成績がベスト、しかし休み明けも十分にこなす
・闘志を持ちながらも、走ることに前向きで素直な気性の馬が多い
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