【血統を使わない種牡馬分析】トーセンジョーダン産駒の特徴と適性を考察してみる
2021.09.25投稿
今回は血統を使わない種牡馬診断をしていきたいと思います。
今回取り上げるのは、数ある種牡馬の中でも
ジャングルポケットの正式な後継として期待されている種牡馬
トーセンジョーダン です。
トーセンジョーダンはデビュー戦こそ敗れたものの2戦目から3連勝
初めての重賞である共同通信杯では2着と
3歳の春からずっと重賞戦線で活躍してきた息の長い馬です。
共同通信杯出走後に故障を発生したため
クラシックは棒に振ってしまいましたが
4歳の秋には天皇賞秋を制覇
翌年の天皇賞春でも2着に入り
安定した力を見せつけましたが
天皇賞春の後に長期休養に入ってからは成績が低迷
7歳の秋にはジャパンカップで3着に入ったものの
それ以外のレースでは掲示板に入る事すら出来ずスランプ状態のまま8歳に引退をした馬です。
現役時代のトーセンジョーダンの走りと照らし合わせてうえで
分析して産駒の特徴を挙げていきたいと思います。
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< はじめに >
一つお断りしておきたいのですが
種牡馬の特徴というと血統に深く入り込んで話をする形が多く見受けられますが
ここでは血統という要素を極力減らして
トーセンジョーダンという1頭の馬の個性・特徴から産駒の個性を分析しています。
そのような形にした理由は2つあります。
・血統に詳しくない人にも分かりやすく説明をするため
「競馬は血のロマン」という言葉があるように血統は競馬の魅力の一つですが
奥が深いがゆえに、初心者には入りづらいという面があります。
競馬は楽しんでなんぼだと思っていますので「血統分からない奴は予想をするな」
というような排他的な考えは持ちたくなかったので、個性を中心に分析をして
全員が分かるような形で分析を行っています。
・血統のみの分析によるミスマッチを防ぐため
サンデー系の種牡馬が席巻している日本競馬界において
同じ血統や似たような血統は多数存在します。
例えば、ディープインパクトとブラックタイドは父も母も同じなので、
血統面からいえば全く同じ適性の産駒が誕生するはずですが、
実際の産駒特徴は全く異なります。
それはディープインパクトとブラックタイドが全く違う能力で
違う適性を持っているからに他ならないのですが、
血統だけで分析を行うとそういった点を見過ごす可能性が高くなります。
そういった事を防ぐため、ここでは個の特徴を中心にお話をしています。
血統に特化した分析を聞きたいという方は他の方が行っている分析を聞くことをオススメします。
それでは、分析をはじめていきます。
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< 競馬場、馬場について >
まずはトーセンジョーダンが現役時代にどの競馬場が得意だったのか?
そして、重馬場は得意だったのか?不得意だったのか?
という点について分析をしていきたいと思います。
トーセンジョーダンの現役時代の競馬場別成績を見てみると
右回り 【6.2.1.9】
左回り 【3.2.1.6】
東京 【3.2.1.5】
中山 【3.0.0.3】
阪神 【0.0.1.3】
京都 【0.2.0.1】
中京 【0.0.0.1】
福島 【1.0.0.0】
札幌 【1.0.0.0】
函館 【1.0.0.2】
どんな競馬場でもまんべんなく走っている事が分かります。
トーセンジョーダンのベストレースは?
と聞かれると、意見が分かれるところではありますが
私が一番トーセンジョーダンって強いなぁ、と思ったのは
4歳秋に走った2010アルゼンチン共和国杯です。
ただ、このレース以外にも2011年の札幌記念や
天皇賞秋、ジャパンカップと激走した後に出走した2011年の有馬記念なども
パフォーマンスの高いレースでした。
そして、GI勝ちとなった2011年の天皇賞秋も強い競馬でしたね。
有馬記念はローテーション負けしたという感じの負け方だったことを考えると
“どの競馬場でもまんべんなく走る万能タイプ”
と言えます。
産駒にも、トーセンジョーダンのこの傾向は引き継がれそうです。
先行力があるように脚質の自在性も有り
瞬発力こそないものの長く良い脚を使える。
これがトーセンジョーダンの特徴ですから
どの競馬場でも走れる万能型の馬が多くなりそうですね。
馬場に関しても話をしていきます。
トーセンジョーダンが現役時代に重馬場以下の条件でレースをしたの2回のみ
2013年 札幌記念 13着
2009年 アンドロメダステークス 2着
2013年は既にスランプ期を迎えていたことを考えると参考にはならず
走りの内容からは重馬場が得意かどうかは未知数ですが
走法などから考えると
重馬場は得意ではなく、こなせる程度
と、考えた方が良さそうです。
ちなみにトーセンジョーダンの父親であるジャングルポケットの産駒も
重馬場はそれほど苦手にはしていません。
重馬場だからといって評価を上げる必要はありませんが
評価を下げる必要は全くない。
そんな産駒を輩出しそうですね。
< 距離について >
トーセンジョーダンが活躍したのは中長距離(2000m~3200m)でした。
こちらもまずは距離別成績から見ていきましょう。
2000m以下 【7.2.1.8】
2200~2400m 【1.1.1.4】
2500m以上 【1.1.0.3】
特に
ベストのパフォーマンスを見せた 2010アルゼンチン共和国杯
疲労を抱えたまま出走した 2011有馬記念
ビートブラックに支配され実質1着のようなレースだった 2012天皇賞春
など、長距離のでの強さが際立ちます。
1800m戦でも【1.1.0.0】と
大きく崩れなかったトーセンジョーダンですが
3歳時のレースや条件戦であった事を考えると
それほど高いパフォーマンスだとは判断出来ません。
長距離戦でこそパフォーマンスを発揮する
という馬である事が分かります。
トーセンジョーダンの父親であるジャングルポケットも
共同通信杯などの勝ち鞍はあるものの
ジャパンカップや日本ダービーといった長距離戦を得意としていたので
長距離が得意な血はより濃くなりそうですね。
< 性格、気性面について >
トーセンジョーダンは
「どんな競馬場でも安定した走りを見せてきた」
という話をしてきましたが、
気性や性格についてはどのような傾向があるのでしょうか?
トーセンジョーダンの成績から見ていきましょう。
“まず最初に目立つのが、間隔を空けると成績が良くない”
という点です。
デビュー戦(新馬戦)は6着(4番人気)と敗れていますし
中日新聞杯4着の後、7ヶ月の休養を経て出走した
準オープンの五稜郭ステークスでは5着(1番人気)
AJCCを勝った後、阪神大賞典を出走回避して
5ヶ月ぶりに出走した宝塚記念では9着(9番人気)
と、極めて安定した成績を残していたトーセンジョーダンが
唯一崩れるパターンだったのが、この「休み明け」です。
休み明けが弱い馬は
“闘争心をそれほど前に出さないタイプである”
という特徴があります。
安定感があるという事は
「真面目で一生懸命走る」
という事の裏返しですが
そういった馬は、レースを使って集中力を研ぎ澄ませていった方が
高いパフォーマンスを見せてくれます。
つまり
「極めて真面目で大人な馬」
という事が言えます。
この「真面目な性格」は産駒へも継承されそうです。
産駒はトーセンジョーダン同様、真面目な性格に生まれる事が予想され
安定した走りを見せる一方で
休み明けには脆さを見せる馬が多くなりそうです。
ちなみにスランプに陥ってしまったのは
体力的な衰えというよりも、
真面目な気持ちが切れてしまった
事が一番の要因として挙げられそうですね。
< 成長曲線について >
トーセンジョーダンは2歳秋にデビューして
デビュー2戦目から3連勝を飾り、以降はずっと重賞を走り続けた馬です。
体質が弱く、長期休養を2度も経験した事から
GIの表舞台に出てきたのが遅れましたが
成長曲線は「標準型」であると言えます。
早熟でも晩成でもなく、標準的なサラブレッドのように
3歳秋以降から充実期を迎えて
5歳くらいまで活躍をし続ける
という感じですね。
トーセンジョーダンの場合は体質が強くなかったので
結果6歳まで一線級で走り続けましたが
コンスタントに競馬を使われていたとしたら
もっと消耗は早かったと思うので極めて標準的だと言えます。
馬券として狙うのであれば4歳か5歳
もっとも競走馬が活躍する時期にピークを迎える馬が多くなりそうです。
逆に古馬になってからの休養明け、休み明け2戦目などは
衰えている可能性があるので、注意が必要になりそうですね。
< まとめ >
トーセンジョーダンは機動力とスタミナを持っている馬で
どんな競馬場でもしっかりと走り、コースの得意不得意がなかった馬です。
産駒にもその傾向は受け継がれそうで
コース替わりなどで評価を下げる必要なさそうです。
適性距離は2200m以上
祖父のジャングルポケットも同じく長い距離が得意だったので
中長距離馬が多く誕生することが期待されます。
真面目な気性を持ち合わせたトーセンジョーダンなので
産駒は安定して自分の力を発揮してきそうです。
器用で真面目な馬であるがゆえに突き抜けたような武器もなく
GI級の大物を出すのはかなり難しいかもしれません。
トーセンジョーダンは器用な優等生だったので
コースやローテーションでの上げ下げがしづらく
馬券的には攻略しづらい種牡馬になりそうです。
産駒がどこまで活躍するのか楽しみですね。
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